リウマチの治療について

リウマチ治療に対する考え

リウマチ治療に手遅れということは無いと考えています。

リウマチ治療の基本は、薬物療法やリハビリなどの保存療法ですが、当院では外科的治療(手術)も積極的に行っています。関節リウマチの場合、薬物療法と関節内注射などの組み合わせによって検査の値は改善を目指せます。しかし、このような流れの中にあっても、リウマチによって変形した骨や関節は外科的治療を施さなければ元の状態には戻りません。
当院では、リウマチの外科的治療に目を向け、手足が変形している患者さまで、ご希望のある方に対しては外科的治療を推奨しています。
手術を行うことで明るさを取り戻された数多くの患者さまに出会ってまいりました。
状態に応じた最善の手術を心がけておりますので、あきらめないでご相談ください。

リウマチの
治療方法について

関節リウマチは自己免疫疾患の1つで、手足や肩・膝関節など全身の関節に腫れや痛みが生じます。
関節の滑膜に炎症が起き、進行すると軟骨や骨まで破壊され、関節が変形してしまいます。
また、関節破壊は発症早期から始まり、継続的に進行していくため、早期に診断・治療を開始していくことがとても大切です。
当院では、抗リウマチ薬に加え、レミケードやエンブレルなどの生物学的製剤を含めた薬物療法を行って、手足の痛みや変形に対する再建術など手術療法やリハビリ療法、その他の治療法も積極的に行っております。

薬物療法

生物学的製剤

リウマチ治療で使われる事が多くなった「生物学的製剤」と呼ばれるお薬は、科学的につくられたお薬ではなく、遺伝子組み換え技術を使用し、細胞培養などの生物学的な技法を用いてつくられた薬剤です。
科学的につくられる合成薬よりも手間もかかる薬剤ですが、この薬剤自体はタンパク質であることから人の体の受容体や抗体などと同様の構造をしていることから、リウマチをはじめとした様々な病気治療に使用されているお薬です。

リウマチ治療における
生物学的製剤の働き

リウマチ治療における生物学的製剤の主な働きは以下の3つです。

  • 「サイトカイン」から作られる炎症を引き起こす原因物質(TNFと呼ばれる物質)の抑制・阻害。
  • 「サイトカイン」から作られる炎症を引き起こす原因物質(IL-6と呼ばれる物質)の抑制・阻害。
  • 免疫異常を引き起こすT細胞を抑える。

このような働きをもって患部の炎症を抑え、症状を改善し、寛解を目指す治療法です。

当院での生物学的製剤の使用経験(令和6年3月現在)

  • 薬剤 症例数
    エンブレル 57
    レミケード 13
    ヒュミラ 23
    アクテムラ 27
    シンポニー 17
    シムジア 4
    オレンシア 19
    エタネルセプト 44
    アダリムマブ 7
    ナノゾラ 4
    ケブザラ 3
  • 薬剤 症例数
    ゼルヤンツ 35
    オルミエント 51
    リンヴォック 22
    ジセレカ 26
    スマイラフ 3

漢方薬の有効活用

当院ではリウマチ治療にも漢方薬を処方する事があります。
生薬由来で体に優しい漢方薬は、効き目が緩やかだったり、弱いイメージをお持ちの方がいらっしゃるかもしれませんが、対処したい症状ごとに適切に使用する事できっちりと効力を発揮してくれます。

  • 整形外科で有用な漢方薬

  • 当院における漢方薬使用状況

越婢加朮湯
(エッピカジュツトウ)

体の熱、腫れ、痛みの発散作用

治打撲一方
(チダボクイッポウ)

結構改善による腫れや痛みの緩和作用

芍薬甘草湯
(シャクヤクカンゾウトウ)

筋肉や内臓の痙攣に伴う痛みの改善作用(こむら返りや胃痛など)

麻杏薏甘湯
(マキョウヨクカントウ)

関節痛、神経痛、筋肉痛などの改善作用

葛根湯
(カッコントウ)

身体を温める作用、免疫サポート作用

漢方薬について詳しく見る

この他にも、患者様個人の症状に合わせて様々な漢方薬の処方が出来ますので、
従来の薬剤ではあまり効果が実感できなかった。
体に優しいお薬を使用したい。
というようなご希望があれば、是非ご相談ください。

手術療法

当院での関節リウマチ患者に対する手術実績(平成10年8月~令和5年3月)

  • 部位 手術症例数
    手関節 125
    母指・手指 252
    肘関節(直視下) 56
    膝(関節鏡下) 57
    足部(足関節・足趾) 82
  • 限局した関節炎に対する滑膜切除術や手足の変形に対する手術を中心に行っております。
    また、関節や膝関節などの大関節の人工関節が必要な場合やリウマチに伴う頚椎の障害を生じた場合は、専門病院への紹介もしております。

年度別治療実績

手術実績

リウマチ治療には
時間が必要です。

リウマチは、すぐに治療効果を実感できる病気ではありません。
お薬の効果が感じられるまでも、手術後の機能回復にもある程度のお時間が必要です。
それでも、根気強く治療を継続する事が寛解への一番の近道になります。
当院では、治療を続ける患者様に寄り添い、一緒に寛解を目指す治療を行ってまいります。